毎年7月1日現在で在籍する健康保険・厚生年金保険の全被保険者の報酬月額について、保険者が標準報酬月額の見直しを行い、その年の標準報酬月額を決定します。
この手続きのため、事業主は4月から6月までに支払われた報酬をもとに被保険者報酬月額算定基礎届を作成・提出しなければいけないのですが、
そもそも、70歳になって厚生年金の被保険者でなくなったのに、なぜ算定基礎届に記載が必要なのでしょうか?
上の画像は、日本年金機構のHPからダウンロードした算定基礎届のテンプレートファイルのタイトルの部分です。
ここに記載のように、この算定基礎届の用紙は、被保険者についての届出と同時に、厚生年金保険の70歳以上被用者算定基礎届でもあるのですね。
この算定基礎届で決定される標準報酬月額により、被保険者の保険料が決定されるのですが、70歳以上の被用者については、在職老齢年金制度の中での年金の調整額を決定する要素としてここで決定される標準報酬月額相当額が利用されます。
以下に、70歳以上被用者についての算定基礎届の記載方法について、被保険者との違いを説明します。
1.個人番号(基礎年金番号)の記載が必要
2.備考欄の「70歳以上被用者算定」欄に〇を記載
ここまでは、健康保険、厚生年金どちらも共通です。
3.算定の対象となる期間の途中で70歳になった場合の記載方法
日本年金機構の算定基礎届記入・提出ガイドブック内25ページのQ&Aには以下のように記載があります。
ここに記載されている70歳以上被用者にかかる算定基礎月を具体的に説明すると、
厚生年金の被保険者の資格を喪失するのは、70歳に到達する誕生日の前日となるため、4月から6月まで毎月17日以上の支払基礎日数がある場合には、誕生日ごとに算定基礎月は以下のようになります。
誕生日 算定基礎月
4/1~5/1 4月~6月
5/2~6/1 5月~6月
6/2~7/1 6月
最後に先ほどの記載例をもう一度見てみましょう
この方は5月7日の算定対象期間の途中の誕生日で70歳になりました。
この場合、算定基礎月は5月、6月になるため、備考欄に算定基礎月の記載をしています。
また、総計、平均額欄には5月、6月の報酬月額の総計、平均額をそれぞれ記載しています。
いかがでしたでしょうか?
これからますます70歳以降も働き続ける方が増えて、こういった手続きの機会も多くなるのではないかと思います。